その日も殆どをベッドの上で過ごした。
やることがないというのもあるし、病人だというのもあるが、桐人君の金曜日からの行動が謎すぎてずっと考えていた。

俺を好きになってってことは、私を好きだってこと?
でも桐人君は私とは演技で居るんじゃないの?
あ、でもそれは違うと否定していた。

訳が分からなくなるくらい、この数日の桐人君は別人すぎる。

私にたくさん触れてくるし、キスしてくる。
熱が下がったらキスの続きをするって宣言されたし。

熱が下がったとき、私はどうなるの……?


その日の夜、桐人君が帰ってきたときまた熱がぶり返した。
次の日の火曜日も三七度以下にならなくて、また一日ベッドの上。

そして水曜日の朝。


「熱下がったね」

ベッドの縁で体温計の三六.五度の表示を見ながらにっこり微笑むスーツ姿の桐人君。
その眩い笑顔が気まずくて、私は咄嗟に下を向いた。

「昨日の夜まで熱があったし、念のため大学は休んで。夜にまた熱がぶり返したら困るし、それに、」

言葉が続くだろうと待っていたら突然両頬を掴まれ上を向かされた。