今、何度熱があるか分からないけれど、桐人君のせいで一度は上がったと思う。
顔も身体も全てが熱い。
可愛いと言われ、恥ずかしすぎて唇はぷるぷる震えるが、言葉が出てくれない。

そんな私を見ながら桐人君がプハッと笑った。

「ごめんごめん。美優とのやり取りが楽しくてさ」

どうやら私の反応が面白くてふざけていたらしい。

遊ばれたことに腹が立ってキッと睨むが、桐人君は堪えることなくクスッと微笑んだ。

「熱があるもんね、朝食を持ってくるよ」

頭にぽんぽんすると桐人君は寝室から出て行った。

離れる度に頭をぽんぽんするのは桐人君のクセのようだ。


桐人君が用意してくれた朝食を食べた。
と言っても食べたのはフルーツゼリーだけ。
食欲の無い私を心配して桐人君に渡された体温計で熱を測ったら三八.三度もあって、その数字を見ただけでも眩暈がした。
桐人君は驚嘆した表情で体温計を見ている。

「これは昨日より高いな……昨日病院行った?」

どうやら昨日測ってくれたらしい。
桐人君の質問に「いえ」と首を横に振る。

「病院に行こう」