「夢だと思ったから!現実ならしなかった!」

「寂しいこと言われたけど、頬擦りしたいのは事実なんだね。ほら、お願い」

右頬に触れている桐人君の指がさわさわ動く。

心臓は痛いほど騒がしい。

この桐人君は私には刺激が強すぎる。

「しません!」

桐人君から逃げようとガバッと起きるとクラッと倒れ掛けたところを桐人君が右腕で背中を支えてくれた。


「熱があるの忘れてるの?」

呆れた顔で言われてしまい、「ごめんなさい」と謝罪した。
昨日から桐人君に病人だと忘れてしまう程、振り回されている。

「だから謝らない」

桐人君はムスッとした顔を向けた。
昨日もこのやりとりをしたから不満のようだ。

「ありがとうございます……」

お礼をするとやはり満足そうに笑った。

「とりあえず休日の二日間は一緒にベッドで過ごそうね」

「色々語弊を生みそうなことをサラリと笑顔で言わないで下さい!」

「語弊って何?意味が分からないから説明して?」

「し、知りませんっ!」