「何言ってるの!?桐人君は私の両親に頼み込まれて仕方なく私と結婚しようとしてるんだよ!?親会社の社長の娘じゃ無かったら、絶対私となんて結婚しようなんて思わないから!何でも出来すぎる桐人君と、ドジで軟弱な私じゃ釣り合い取れない……」

「チビが抜けてる」

更にへこませないで。

「お前、うちの会社に入れてやったのにどれだけ俺に手間かけさせるわけ?」

諒ちゃんは苛々した口調になる。

「諒ちゃん、見捨てないでー!」

私は涙目で叫ぶと泣いたふりをする。

実は諒ちゃんは女の涙に弱いのだ。

「しゃーねーな、桐人君に会ってやるよ」

待ってましたよ、その台詞。

「助かる!諒ちゃん!大好き!」




次の日、昨日と同じホテルのラウンジで桐人君と待ち合わせをした。


「というわけで、俺と美優と付き合ってるし、それに美優は俺の専属秘書になるし」

諒ちゃんが桐人君に言ってくれた言葉に初耳の情報があって嬉しくなる。