「大丈夫?無理しないで」

心配そうな声が届いてきたが、ふと下を見たらブラウスの釦が一つ開けられていたので、慌ててブラウスの胸元部分をぎゅうっと右手で掴む。

「汗掻いただろ?拭いてあげるよ」

「だ、大丈夫ですっ!」

「じゃあ着替えの続きを」

「大丈夫です!」

笑顔の桐人君がこちらに手を伸ばしてきたので、今度は両手でブラウスを掴んだ。

「遠慮しないで。気持ち悪いでしょ?夫に甘えてよ」

首を傾げた桐人君の口から出てきた単語に目を剥いた。

「夫!?」

「だって俺は君の婚約者だから、俺は君の夫になるよ」

口をパクパクさせていると笑顔の桐人君はクスクス笑う。

「分かったよ、君にはまだ早いね。俺はお粥作ってくるから着替えてね」

ぽんぽんと私の頭の上で手を優しく弾ませる。
寝室から出て行ったのを確認すると、私はボスンとベッドに倒れ込んだ。


……今の、桐人君、だよね……?




「いっぱい食べてね。あ、食べさせて欲しい?」

十五分後、寝室に戻ってきた桐人君が笑顔で言う。