「私、熱あります!風邪移っちゃいます!」

桐人君をまず止めようと混乱しつつも出した私の言葉を、

「じゃあ、熱が下がったらもっとしようか」

そんな意味を含んだつもりはないのに、桐人君は勝手に解釈して返した。

甘い妖艶な微笑み。

長い指はずっと私の唇の上で誘うように動いている。


私は夢を見ているのではないだろうか。

熱のせいでおかしくなっているのだろうか。

動けないでいると、両頬を大きな手で優しく包まれる。

近付いてくる彼の顔。

驚いて目を固く瞑ると、チュッと額には優しいキスの感触。

甘い眩暈に襲われて目をゆっくりと開けると、私の額と桐人君の額がコツンとくっついた。

超至近距離で、私を熱く見つめる双眸。


「熱いね」

きっと熱のせいじゃない。

今熱いのは、桐人君のせい。

頭の処理が追い付かない。