小学三年生で、婚約の意味を理解した時は嬉しかった。
だって私の初恋は桐人君。
いつから好きかも分からない。
物心がついた時から彼に夢中だった。

でも高校一年生で私と彼が釣り合わない事と、ある事に気付いた。

桐人君は勉強もスポーツも出来て、容姿も完璧で人望もあって、生徒会長をしていた程だった。
それに引きかえ、私は勉強はそこそこ出来たが、病弱なせいでスポーツは全く出来ないし、見た目は子供で、月に一回は身体を壊して一週間は休んでいた程だ。

とあることをきっかけに、完璧な桐人君がどうしてこんな私に優しいかにも気付いてしまった。

私の父の会社、萩原ホールディングスは食品事業を手掛ける大企業で、桐人君のお父さんの会社の親会社。
桐人君はお父さんの会社のために自分を犠牲にしようとしているのだと。

それに気付いた私はこの婚約を破棄して欲しいと両親に訴えた。
でも両親は「桐人君ラブのくせに」と言って、私の話に聞く耳を持たない。