「日曜日、桐人君と来るね」

「貴方達、二人でデートしてきなさいよ。貴重な休みをこんな所に使わない。時間は無限じゃないのよ?」

最後の一言、意味深だった。

「ちゃんと土日はハウスキーパー入れないようにしてあるから、桐人君とラブラブ過ごしなさい」

なんというありがた迷惑。

つい目を細めるとお母さんがいつも座っているお気に入りの一人用のソファから立ち上がった。


「ちょっと今日は疲れちゃった。お母さんは晩ご飯まで部屋に居るわ。美優も帰りなさい」

「お母さん、大丈夫!?」

「大丈夫、いつものことよ」

お母さんはいつも通り笑っている。

確かにお母さんはよく体調を崩していたが、真実を知った今は不安にしかならない。

「あ、そうだ。来週は定期検診よ」

「覚えてるよ」

私は年に二回、不整脈のために五日間胸やお腹に電極のシールと手のひらサイズの機械をつけて、心臓に異常が無いか調べるのだ。

「私も桐人君に晩ご飯を作らなきゃいけないから帰るね」

「早速主婦してるわね!ラブラブー!」