「そうだ。帰り、諒ちゃんの車に乗せて。これから出来れば平日毎日」

「何で?」

諒ちゃんは小首を傾げた。

「お母さんの様子を見に行きたいから」

「朝、どうやって大学来たんだ?」

「タクシー拾った」

「電車くらい乗れるようになれよ」

「毎朝車送迎の諒ちゃんに言われたく無いよ」

呆れた顔の諒ちゃんにそっくりお返しした。


大学が終わった後、諒ちゃんの車に乗せてもらいお母さんの様子を見に行った。


「美優の家はもうここじゃないんだから、自分の家に帰りなさいよー!」

ただいまと帰ったら、今日も広間のお気に入りのソファで読書をしていた母に寂しい一言を呆れた顔で言われてしまった。
とりあえず隣のソファに腰を下ろした。

「いきなり出てくことになったから寂しいし……」

「初夜はどうだったの?」

「ブッ!!」

まさかの話題に動揺した私は噴き出した。

娘に笑顔で何を訊くのですか母上。

口元を拭って気を取り直す。