やった…やった……やり遂げた!
ガッツポーズは家に帰ってからしよう!

全てを言い切った私は達成感を感じて肩の力がフッと抜けた。


「分かりました。が、その前に僕に彼を紹介して下さい」

「え」

予想外の桐人君の返しに一気に身体が強張り、私は固まった。

だって想像していた桐人君の返事は、「じゃあもう俺は君の婚約者役をしなくて良いな」だった。
それなのに紹介しろだなんて……それに対しての言葉は用意してないっ!

そんな私は思いきり動揺して言葉が出て来ず、口をパクパクさせる。

「聞いてますか?各務と会わせて下さい」

無表情で淡々と問い返す桐人君にハッとする。
と、とりあえず、何かを返せねばっ!

「あ、会ったこと、あるじゃないですかっ!高校、一緒だったんですからっ」

私達は高校が同じだった。
桐人君は二歳上だから一年間だけだったけれど。

「学年が違うので話したことすら無いです」

即、切り返された。

引いて下さい!
そんな返しはしないで下さい!