暫くすると桐人君は「失礼、準備をするね」と言って席から立ち上がる。

私はゆっくりとサンドイッチをかじる。


「じゃあ僕はそろそろ行くね」

食べ終わり紅茶を飲んでいると桐人君が戻ってきた。
壁時計を見ると七時半。

「玄関までお見送りします」

「君も大学があるだろう。だから僕のことは気を遣わなくても良いから」

と言われても、大学まで時間はあるし、ここで堂々と座ってはいられない。

「朝食を用意してくれたんですから、お見送りくらいさせて下さい!」

私が強く言うと、桐人君は眉を少し下げてフワリと笑う。

「分かったよ」


玄関まで桐人君について行く。


「いってくるね。何かあったら連絡して。僕も仕事で遅れそうだったら連絡するから」

笑顔で私に言う桐人君。

「分かりました。いってらっしゃいませ」

私は軽く頭を下げて見送った。