「私もそれの方が助かります。それと桐人君、ベッドを買いましょう」

広いベッドだが、やっぱり二人で眠るのは抵抗がある。

「君のお母様、たまに様子見にくるって言っていたよ。ベッドなんて見つけたら、僕達の関係を怪しむと思うよ?」

うっ……と言葉に詰まった。

もしベッドを買って、それをお母さんが見つけたら怪しむ前に「こんなの要らないわ」と言って速攻捨てそうだ。
確かに無意味かも。


「君は僕を警戒してる?大丈夫、変なことはしないよ」

桐人君が余裕そうな微笑を私に向けた。

「警戒なんてしてないですから!私なんて桐人君から見たらお子様ですもんね!」

確かに図々しい勘違いだ。
桐人君が私を恋愛対象に入れてくれるはずはないもの。

自分で口に出しながら情けなくなった私は朝食をとることにした。

「今日の夜は七時には帰れると思う。君は?」

「私は二時には講義が終わります。その後はお母さんの様子を見に帰ります」

「分かった」

そう言うと桐人君はニュースに目を向けた。