「僕はソファで寝るから、君はベッドを使って」

沈黙を破ったのは桐人君。

「私の母のせいなんです!桐人君がベッドを使うべきです!」

流石に譲れない。

「じゃあ、僕がベッドを使うなら、君が寝た後にベッドに運ぶよ?」

それじゃあ意味がない!

「桐人君がベッドです!決定事項です!」

「布団もこれしか無いよ。身体の弱い君は絶対にベッド」

キングサイズのベッドの上の一枚しか布団はない。

ううう……と私は両拳を握り締めながら黙ってしまう。
言い返せない。
でも健康な桐人君だって、ソファで布団も無しに寝たら、風邪を引いてしまう。
今は十一月で朝と夜はかなり肌寒いから。


「じゃあ一緒に寝ようか」


どうすれば良いか分からず困っている私に桐人君が平然と言った。

私は目が飛び出そうなくらい目をひん剥いた。