「桐人君だって迷惑だし、五年以上桐人君とはまともに話してないんだよ!?そんな相手と結婚なんて考えてもいないよ!」

「桐人は迷惑してないわよ?それなら桐人とデートに行きましょう」

おばさん……桐人君のお母さんが両手をパチンと合わせて笑顔で返した。

「そうね、それが良いわ!そうしましょう!」

「は?」となる私を置いて、盛り上がる二人。

ダメだ、この二人じゃ話にならない。
彼とちゃんと話をしよう……

ーーー
ーー


というわけで私は彼と会うことになったのだ。
このままだと私達は結婚させられてしまう。
それはおかしいもの。

私は拳をギュッと握り締めて気合いを入れて、すぅ〜っと息を吸い込んだ。

「私、各務諒さんとお付き合いしていますっ!だから親同士が勝手に決めた結婚話は忘れましょうっ!」

力の限りお腹の底から声を張り上げて言葉にして放出した。