「じゃあ桐人君は美優のこと、どうでも良いんだ」

その言葉に胸がチクンと痛んだ。

桐人君は初めから私なんて見てないよ。
さりげなく追い討ちかけなくても良いよ。

「まぁ勝手にやれば?」

諒ちゃんは呆れた顔をしていた。


私はそれから急いで家に帰った。
お母さんの状況を確認するため。


私の家は都心の一等地に塀に守られて建っている。
厳重な門をくぐり抜けると姿を見せるのは大きな二階建ての白い洋館だ。


「ただいま!」

「お帰りなさい。今日はどんな一日だった?」

一階の広間に大抵いる母に声を掛けると、お母さんは毎日の言葉を私に掛けた。

「今日は諒ちゃんとお茶してた」

桐人君のことは話せないから誤魔化した。

「貴方達、本当に仲が良いわね」

お母さんは笑顔で返した。