「お前、俺の台詞忘れた?それにさっき何言おうとしてた?」

諒ちゃんの台詞を桐人君のせいですっかり忘れていたが、今の私はそれどころではない。

すると突然、諒ちゃんのシャツを掴んでいる私の手を横から現れた大きな手に掴まれ、強引に諒ちゃんのシャツから剥がされた。

やったのは桐人君。

「何してんの。君の婚約者は俺。他の男に触れるな」

桐人君は眉に皺を作り、苛立った双眸を私に向けた。

今のは何?
他の男に触れるなって……。

「桐人君、いつにも増して独占欲剥き出しだねぇ」

諒ちゃんが横でニヤニヤ腕を組みながら私達を見ている。
独占欲って、

「そんなわけない!」

「美優が否定するな」

私が否定して叫ぶと、苛立ったような低い声で桐人君が返した。

「もうはっきり言いなよ、桐人君。美優、さっぱり分かってないよ?」

諒ちゃんは口を握り拳で押さえ、何故か笑いを堪えている。

「え?何が?」

私は訳が分からなくて眉を寄せる。