私はソファに座って、諒ちゃんの帰りを待っていた。


「美優、お待たせ」

諒ちゃんはすぐに戻ってきた。

「おかえりなさい。お客さん大丈夫?私は放っといてもらっても大丈夫だから」

「大丈夫、大丈夫。それよりもさ」

「うん?」

突然私の座っている一人掛け用のソファの手置き部分に私を挟むように手を置いた。

「もう桐人君なんてやめちまえ」

突然の言葉に私は目を見開いた。

「じょ、冗談「冗談じゃねーよ」

真摯な顔に、真っ直ぐな瞳。

冗談なんかじゃないとは伝わった。

「泊めて欲しいなら泊めてやるよ。でも覚悟しろよ」

「か、覚悟って……?」

「分かるだろ?俺に襲われても文句言うなってこと」

瞳を妖しく光らせた諒ちゃんにゾクリとして、私は咄嗟に俯いた。

最後の言葉で言いたいことは分かった。
でも十三年くらいの長い付き合いの諒ちゃんに、今までこんな風に言われたことはない。

諒ちゃん、本当に私が好きなの……?