俺はふうーーっと深いため息をつく。
仕方ないな。
アイスくらい奢ってやろう。
しぶしぶ上目遣いの李衣に頷いてみせる。
すると、李衣はぱああっと文字通りご機嫌になり、俺にぎゅっと抱きついてくる。
小柄な李衣は、俺のちょうど胸下くらいの位置に埋まっている。
……周囲の視線が痛い。
「こーたろ大好き!ありがと!」
そう笑った顔は贔屓目なしに可愛い。
くりくりの瞳が線になっている。
でも人目を気にせず男に抱きついたりとか、自分の可愛さ全面に押し出す所とか…
そういうの女子ウケ悪いんだろうな。
残念な妹だ本当。
それで満足したのか、李衣はぶんぶん手を振りながら教室を後にする。
なんだかんだでこの幼なじみに甘い自分に、自分でツッコミを入れる俺であった。