ホチキス
テキスト
アニサキス
エキストラ
キスカ島、キスマユ、エキスポ、エキス…
だあああああ!もう!
"あれ"からというもの。
俺の頭の中は完全に"キス"に支配されていた。
暇さえあれば頭の中であの日の出来事が繰り返し上映会。
キスっていう言葉には過剰に反応し、頭の中をぐるぐる回っていく始末。
小学生ですか。
いいえ、高校生です……
初キスって訳でもあるまいし。
何をそんなに取り乱す必要があるのか自分でも分からない。
さらに厄介なことに、
「こーたろ、デートしよっ」
「しません」
あの日を境に、李衣に完全にロックオンされてしまったことだ。
律儀なことに、あれから毎日毎日、李衣が放課後教室まで迎えに来るようになったのだ。
逃げようと試みたが、先に帰ろうとしても李衣が走って追いかけて来る。
怒られるのも嫌だし、追いかけてくる間に危ない目にあったら…とか思うと、過保護な俺は大人しく教室で李衣を待つしか無かった。