李衣。
1つ年下の幼なじみ。
幼い頃から懐かれていて、妹みたいな存在で。
確かに可愛らしい容姿をしていて。
天真爛漫で。
今までだって、気まぐれな李衣に振り回されてきた。
今更女の子としてなんて見れるはずがない。
……そう思っていたのに。
「今のなし!!!!」
キス1つで、こんなにも意識してしまうだなんて。
絶対に嘘だ。
目を丸くしている李衣を置いて、俺は徒歩1分圏内の自宅へ戻った。
息が上がっている。
心臓が激しく動く音が身体中に響く。
本当にどうかしている。
ほのかに残るキャラメルの香りが、嫌でも李衣の唇を思い出させる。
…それからの俺は抜け殻だったようだ。