こいつは相当わかりやすい。

「あ、俺自己紹介まだだよね?名前は雪白奏。龍華の副総長やってるんだ」

「こいつは寺崎渉ね。女の人苦手だからこんなんだけど良い奴だから」

奏が自己紹介と渉の紹介をしてた。

俺の紹介はねぇのかよ。

そんなこと考えてると望が

「拓真も自己紹介くらいしたらー?」

なんてお菓子を食べながら言ってきやがる。

自己紹介て何言えばいいんだよ。

俺は何も思いつかず

「…如月拓真」

と名前だけ名乗った。

そもそもこれから関わるかもわかんねぇのに

なんで自己紹介なんてするんだ?

女は少し不思議そうな顔をしていた。

「おま、名前だけかよ!」

奏が中々キレのあるツッコミをしてきた。

別に俺はボケてないけどな。

「ふふっwあはははww」

女が笑いだした。

こいつ、笑うとすっげぇ可愛いんだな。

……今俺何考えた?

気のせいだろう。そんなこと俺が思うはずない。

女が笑っていると幹部の奴らまで笑いだした。

「んだよ…別にいいだろ」

俺は少し恥ずかしくなって

目を逸らした。

「有栖ちゃんって笑うともっと可愛いね!」

と楓が言った。

俺は自分の心が読まれたのかと思って

顔には出てないかかなりびっくりした。

「楓が言うとなんか軽いね」

わかる。俺もそれは同感だ。

「わかるわぁ、こいつ言うことに重みがないんだよね」

意気投合してるけど…奏こいつのこと気に入っ…

いや。そんなことねぇな。

多分こいつがどんなやつなのか探っている所

だし奏が完全に心開くことはそうそうないだろう