「有栖ちゃんね〜?家に帰りたくないんだって」

ちょっと望くん!?いきなりばらさないで

貰えますか!?

「の、望くん…!!」

「ん?なに?」

「…なんでもないです…」

圧のある笑顔で聞かれたら何も言えない…。

「…聞いてる話と違ぇな。屋上に居た女が男にヤられそうになってて大変だから匿ってって楓言ってたよな?」

「それは本当だよ〜?」

…そうゆうことになってたのね。

間違ってないんだけど。

でも…助けられたから私はもうここには

いちゃいけない…ぽいよね?

下にも私以外の女の人いなかったし

女の人は出入り禁止だったり……

「おい。お前、家に帰りたくないだけならもう帰れ。家の人も心配してるだろうし、ここはお前がいていい場所じゃない」

「おい拓真。いいすぎ」

茶髪の人がなんか言ってたけど

そんなのどうでもよかった。

家の人が心配してる…??

金髪の人に言われたその言葉で

私は泣きそうになった。

心配してくれる家族……。

私が泣きそうになっているのを見ると

金髪の人はちょっと躊躇ったあと

「はぁ……泣かれても困るんだよ。めんどくせぇ。いいからもう帰れ」

と言ってきた。

「まぁたしかに、家族の人は心配してるだろうね…。でも何か理由があるんでしょ?それだけでも聞いてあげようよ。」

と茶髪の人が金髪の人へ言った。

“家族の人が心配している”

その言葉だけがどうしてもループして

私は泣いてしまった。

突然泣き出す私に戸惑う部屋の人達。

「めんどくせぇ…」

そんなこと私がいちばんわかってるよ。