「せんせ〜許して〜!」

 
 顔の前で手を合わせて必死に頼み込む蒼井。


 周りの蒼井の友達はにやにや笑ってる。さっきまでの唯衣と同じ顔だ。


 「だめだ。清掃中に2年6組の蒼井翔太がうるさいって職員会議で出たんだからな〜?」


 「ええー!俺が?!そんなあ〜」


 くすくすと煽るようにして笑う蒼井の友達ら。


 「ああー!そだ先生!こいつらもうるさいよ!!」



 「友達を売るなよ(笑)」


 先生が笑った。そんなに怒ってないのが一目でわかる。


 「なっ!そーだ翔太!友達を売んな!」


 「「そーだそーだ!!」」



 男子ってこういう時だけまとまるよねって、近くにいた女子グループの軽い陰口が聞こえた。



 その子たちは、音楽会とかで一団となれない男子たちを見て泣いちゃう系女子だ。



 正直、私は苦手。


 
 「まあ、翔太。今日の放課後、居残り掃除で許してやるから、この件はこれでお終い!
さ、授業の準備しろ〜」



 「えっ?!ちょっ、先生?!」



 困惑している蒼井を置いて、他クラスの授業の準備をするため足早に去ってった。



 「どんまい、翔太。」


 「くっそ〜〜お前らもうるせーだろ!」

 
 と皮肉の混ざった声で翔太が言った。


 「いや、翔太ほどではない」


 「うん。翔太ほどではないわ(笑)」


 「掃除、頑張れよっ」


 「俺、今日バイトだからがんば☆」


 「俺も今日遊ぶ約束してるからがんば☆」


 「俺も今日暇だからがんば☆」


 蒼井が手伝ってと言う前にみんな断っていく。

 
 最後の人は絶対嫌味だろうけど



 居残りも掃除も自分からやりたいって言う人はなかなかいないだろう。


 
 「おい〜言う前に断るなよ〜!てか、暇だからがんば☆って誰だ!手伝え!」


 「1人でやるから罰なんだよ翔太くん」


 蒼井の親友の坂本怜(さかもとれい)が優秀生風な口調で言った。


 「言い方ムカつくぞ!怜!」


 「だってムカつく言い方で言ったんだから
当たり前だろww」