空先輩と出会ったのは梅雨入りの6月。
朝は晴れてたから傘も持たずに学校に向かい、帰る時は雷が鳴るほどの豪雨で雨が止むまで待ってたら
『…傘、いる?』
とふわふわした優しい笑顔で話しかけてくれた。
学校でもイケメンって有名な空先輩ですごくびっくりしたのを今も覚えている。
雨が止むまで待つので大丈夫ですと言うことを何度も言ったけど
『こんなかわい子ちゃんほっとけないなぁ』
『ほら、おいで一緒に帰ろう』
と大きめの透明傘に入れてもらった。私よりも背の高い空先輩の横顔はやはりカッコ良くてシルバーのリングのピアスが光っていた。
その時、空先輩は私のことについて何も聞いてこなかった。
深入りはしない感じ、少し壁を感じたけどもしかしたら人見知りなのかもしれないとあまり気にかけなかった。けど送ってもらっている間、他愛もないお話はできた気がする。
「あ、お家ここです…ありがとうございます」
『いえいえ、明日からは天気予報見るんだよ?』
「はい、そうします笑」
『まぁこの傘パクったんだけどね笑』
「ふふ笑、そうなんですか?先輩も見なきゃですね、天気予報」
『はーい、見ますよ!じゃあね、また明日』
ポンポンっと優しく暖かい手が頭に降りてきて、糸目をさらに細くして笑う空先輩に私はストンッと恋に落ちたのだ。