「わ、かってましたっ」
泣いてばかりじゃダメだ、空先輩との関係は仲の良い先輩後輩で私には充分だ。無理やり笑おうとして、多分今すごくブサイクだ。
『…花』
「先輩、好きになれて、良かったと思います、」
「それでもまた、仲良くしてくださいっ…」
『うん、本当に、ごめんね…』
『これからも俺は変わらないよ』
ずるいその笑顔は今の私には眩しくて、変わらないってずっとサラさんしか見てないし、妹みたいに優しくしたいと思うのも私だよってことなのかな
もしそういうことなら、本当に私勝ち目ないじゃん
「はい、じゃあ、さようならっ…」
最大限にスッキリした顔、笑ってる顔を作って空先輩のいる場所から去った。悔しいことにすれ違った時に香る匂いはやっぱりいい匂いで少しキュンとしてしまった。
さようなら、好きだった空先輩。私は空先輩を置いて、その教室を後にした。
それからどう過ごしたかは自分でもあまり覚えていなくて気づけば家に着いていた。腫れたまぶたは今日の出来事を思い出させて
「…空先輩、好きだよ…」
誰にも聞かれるはずもないその言葉は自分の部屋に静かに消えて、ベッドに体を沈めた。