――次の日。

「麗奈」

不気味なぐらいにニッコリと笑った杏里が私を見る。

「前から思ってたけど……時々びっくりするぐらいバカになるよね」

「え」

昨日の出来事を杏里に報告したら、そう言われた。

「いや、だってさ。そもそも、そのチョコが本命の子のやつなわけないじゃん。図書室前に呼び出されて渡されたんだったら、普通、そのまま帰って鞄に入れるでしょ」

「あ」

「なんで図書室から割と離れたとこにある柱の陰なんかに落とすのさ……」

自分が昨日盛大に勘違いをして心を靄らせていたのだと気付き、若干ショックを受ける。

た、確かに……。ありえないじゃん……。

「あとさ、本命から貰えなかったって聞いたときに、なんで自分をカウントしないいのよ。麗奈も渡してないじゃん。そこ、『もしかして、自分かも……!』ってテンション上がるとこでしょ」

「……」

「どーせ、自分はありえないとか思ってたんでしょーけど」

じとーっとした目で私を見る杏里。

「もうちょっと、自分に自信持ちなよ」

彼女はそう言ってから、天井をビシッと指差して、叫んだ。

「うちの杏里は世界一かわいい! ……あ、まって森下くんの次。じ、じゃあ、せ、世界盗れるレベル!」

「ちょっと何言ってるか分かんない……」