まずは、渡さなければ。

「あ……、図書室帰った後、渡すつもりだったチョコ渡していい?」

「え……俺用のチョコ、持って、たの?」

高坂用のチョコがあることを打ち明けると、きょとんとした顔で私を見てきた高坂。

いつもクールな印象の彼がそんな顔をしていることが、すごく可愛い。

……私しか知らない、彼の表情が、とても愛おしい。

問いには答えず、私は少しだけ口角を上げて微笑んでみせた。