「……良かった」

ほっと息を吐いた彼。その顔からは心からの安堵がにじみ出ていて。

本当に私に貰って欲しかったんだな、とそう実感できた。

嬉しい……、それだけが心を占めている。

ギュッと胸の辺りで握った手の中の、消えない袋の感触が、私を甘い気持ちで満たした。

ああ……好きだ。

苦しくても、辛くても、たとえ報われなかったとしても――やっぱり君が好きだ。

だって今、こんなに幸せなのだから。

それだけで。君を好きで良かったって、そう思えるんだ。

そんな思いで彼を見上げた。

――伝えよう。なにもかも、全部。

この、甘くて苦い、特別な感情を。