「え……?」

「今まで毎年くれてたじゃん……」

何故今そのことを聞くのかが分からず、混乱する。

普段より元気のない声。少し下がった眉。そして、セリフ。

それはまるで――

「……期待してたって、こと?」

「……そうだよ」

その拗ねたような声に、心臓がギュッと鷲掴みにされたような感覚を覚える。

「貰って、返して……そうしようと思ってたのに。麗奈はくれなかったし、あげるつもりだったチョコは落とすし……落としたチョコはあげようと思ってた本人が持ってくるし」

彼の言葉に、私はヒュッ、と息を飲んだ。

手元に視線を落とす。

この袋の裏側に書かれた「高坂」という文字。これは……、もしかして。

「高坂へ」ではなく、「高坂より」って意味で書かれたものだった……?

じゃあ、これは、どこかの女子から貰ったものではなく――

「……つまり、これ私用にって、高坂が用意したチョコ、なの?」