私は、小林先生が「とっても大切なもの」を探していると言っていたのを思い出す。

大切なもの……。

私のいない間に本命の子が来て、渡したもの……?

思考が飛躍しすぎかもしれない。でも、不思議なくらいにしっくりくる答え。

だから、ひたすら探して。見つけられないから、時間がかかっているのだとしたら。

全てに説明がつく。

なら、これを彼の元に届けてあげればいい。そうするだけで、いい。

(なにも考えなければ……つらく、ない)

私は無心で足を動かして、高坂を探した。

「高坂ぁ? あー、そう言えば、さっき教室の方行くの見たぜ」

廊下にいたクラスメイトが言った、最新の目撃情報。

「『このぐらいの青い小袋見なかったか?』って聞かれたんだけど」

言いながら、彼は手で丸をかく。ちょうど、手のひらサイズぐらい。

……間違いない、これだ。