「叶花、じゃあ私はそろそろ帰るね 」
そう言って紗希は診察室から去っていった。
「診察するね。服まくるよ 」
樹先生は座っていても倒れそうな私の背中を支えながら、器用に片手で聴診をする。
体が熱すぎるのかいつもより冷たく感じる聴診器。
昨日から軽い喘息の発作はあったから、樹先生がどんな顔をしているのか怖くてうつむいてしまう。
なのに聴診が終わると樹先生の両手にほっぺたを挟まれて、そっと上に上げられて樹先生と顔を合わせる形にさせられた。
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