ギルは、家庭教師としてずっとそばにいてくれた。

ナタリアがひとり孤独を感じたときも、そばにいると言い続けてくれた。

そしてそれは、彼の正体が明らかになった今も変わらず続いている。

「本当に……?」

「本当ですよ。ずっと気持ちを抑えながら、あなたが大人になるのを待っているのです。ロリコン扱いされたくないですからね」

冗談半分にギルは言うが、その焦がれるようなまなざしは、嘘を言っているようには見えなかった。

本心で自分を欲してくれているのが、にじみ出るような色気から伝わってくる。

知らず知らず、ナタリアの目からは涙が流れ出ていた。

生まれて間もなくから、ずっと逃げなきゃと感じていた。

まだ思うように動かない赤ん坊の身体で、何度も離宮を離れようと頑張った。

だから、茂みに潜んでいたギルの目に留まったのだ。

モフ番の中で、ナタリアと黒幕クライドが出会うシーンはない。

クライマックスにクライドがようやく登場する頃には、ナタリアはすでに牢屋の中だったからだ。

逃げたいと盲目的に思っていなければ、モフ番のストーリー同様、ギルと会うことはなかった。