ー無邪気な殺人鬼ー

ーーーーーーーーーー


真夜中。
暗がりの部屋に豆電球が1つ。

それが度々揺れる時は、窓から見える月明かりに照らされて、、

人の影が動いた時。

大きな影が、手をあげた。



「どうして、あんたはみんなと同じ風に出来ないの!!」







小さな影に怒鳴る、怒鳴り散らす女の声。












小さな影はずっと下を向いていたーー。




ーーーーーーーーーーーーー






みゆきが消えたのを
目の当たりにした私はーー。

あの後、1部の目撃者として事情を聞かれた。

だけど、私と同様ーーショックのが勝っていて誰もが口を閉ざした。

私だって何も、言えなかった。

私は隣にすやすや眠る小さな女の子を眺めた。



寝ている姿は、本当に天使みたいで
邪気を含まない。

だけど、お腹が空くと手が付けられないほどで、だけど"素顔"に、偽りは無かった。


私はーーこの子を連れて帰ってきてしまった。
危険だと分かっていながら。



いつか、私まで食してしまうかもしれない。
化け物になってしまった子どもの霊。


だけどーー、それは救えなかったこの時代が悪いーー。



あの日、公園で見かけた親子に、
私は1人を足りないことを知っていた。


知っていて、動けなかったーー。








私は女の子の頭を撫でたーー。



パチーーーー!!




ーーーー!!子どもの目が開かれて、、
息を飲む私。









「ママ」












……………。









口元が今にも泣き出してしまいそうに歪んだ。


子どもがよくする泣き出す前の5秒前の、合図。



その中にたった二文字の、"言葉"に

私のが泣き出したくなった。






ママを大好きーーー。





1人だけ愛されず死んでしまっても尚、

ママを想う子どもの心が
私は痛かったーー。



目をつむったまま、泣き出す女の子に


私はーーー抱き締めて眠った。










大丈夫大丈夫、って語りかけながら。









お肉食べちゃダメなんて
言えなかった。


人肉ーーを喰らい生き延びようともがく小さな幼い子供。


ぎゅ、と腕に抱きつき眠る小さな女の子を抱きしめながら想うーー。





"私が守ってあげる"







「私だけがいらなかったの?」




、、、。





私はそんなこと思ってはいなくて
だけど親は確かに、そうだったんだろう。

ろくに食事を与えず餓死に追いやった両親。


一般市民がこうならないで

アイツらが
"こうなればよかった"のに。


「大丈夫、大丈夫だよーー。
お姉ちゃんが守ってあげるから」

私は泣いてる女の子を抱き締め眠った。

朝になるのが怖い。
普通なら、朝、昼、夜に食べる食事すら
この子の一言で
私の心は凍るんだ。


"おなか、すいた"ーー。


夜中にお腹空いた、なんて言われた日にゃ、私はーー寝てる暇がないぐらい深夜、家を飛び出して
狩りをしなくてはならない気がしたーー。


だけど横にいる女の子は、スヤスヤと眠っていた。









「まーくんが、いなくなればいいのに」




え?





まーくん??




誰だろうか。
寝言?なんだろう。
女の子は、スヤスヤを寝息を立てていた。



そう言えばあの家族には、もう1人子どもがいた。
大層可愛がれていた男の赤ちゃん。
ベビーカーに乗って公園にいる夫婦連れを見たことがある。

そして
その場に、女の子は決まって居なくて。

不思議な家族のカテゴリーに入っていた。



作品を評価しよう!

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

表紙を見る
。。折れた羽根、虹の架け橋。。

総文字数/134,998

恋愛(キケン・ダーク・不良)366ページ

表紙を見る
。。折れた羽根、虹の架け橋。。③

総文字数/27,139

恋愛(ピュア)56ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア