お酒のパワーなのか、さっきよりははるかに空気が柔らかくなった気がした。彩響が又ビンを握り自分のグラスに注いだ。


「せっかくだし、飲みましょう!嫌なこと忘れて、がんがん飲みましょうー!」

「あの、その…無理はしないでください」

「大丈夫、大丈夫!社会経験7年無視すんなよ~会食ではいつも最後まで残ってるぜ~」


そう言って、彩響がお酒をガブガブ呑んだ。お酒の味が良かったのも確かだが、とにかく飲んでおけばなんとか今夜をスムーズに過ごせると思ったからだった。

――そして、一升瓶の半分以上を飲み終わった頃…


「うう…」

「大丈夫ですか?顔真っ赤ですが…」


心配そうに聞く寛一さんの声はもう耳に入ってこない。飲むペースが速かったのか、意識が朦朧とするのを感じる。それになんか体が熱い。寛一さんが立ち上がり冷蔵庫から水を持ってきた。


「どうぞ」

「うう…熱い…」

「もうお酒はやめましょう。飲みやすいとついたくさん飲んでしまいますね」


ちらっと寛一さんの顔を覗いたけど、全く普段と変わらない顔で、思わずムッとしてしまった。いつも冷静沈着で、感情の変動がないこの家政夫さんはお酒まで強いのか…!自分は細かいことで一々イライラしたり落ち込んだりするのに…変な方向性でもやもやしてきた彩響は、着ていたブラウスのボタンを一つ開けた。そのまま徐々にボタンを開けると、寛一さんが目を丸くしてこっちを見た。


「さ、彩響さん?なんで脱いでるんですか?」

「はあ?熱いからに決まってるんだろうこらあ」

「やめてください…その…俺が困ります」

「なんだよ、普段は私のブラジャーもパンティーも全部見ているくせに!」