「寛一さんも、やはりかわいい服着て、綺麗に化粧している女の子が好きなの?」

「…はい?」

「いいから答えて、私は今真剣です」


突然投げられた質問の意図が把握できなかったのか、寛一さんが目を丸くした。一瞬慌てたように見えたけど、すぐ元のクールな顔に戻り、普通に答えた。


「えーと、なぜそのような質問をされたのか理由はよく分かりませんが…そうですね。男なら誰でも、綺麗に着こなしている女性を嫌う理由はないでしょう」

(――ほらね)


予想通りの答えに彩響が口をとがらせる。やはり、どいつもこいつも結局好きなのは可愛くて、愛嬌のある、ガーリーな女の子で…


「…しかし、その女性のことが好きなら、どんな格好でも可愛いと思うはずでしょう。例えば、その人が首の伸びたTシャツと穴が空いた短パンを着ていても、です」

「え…」


寛一さんはその言葉を残して、軽く頭を下げて部屋を出ていってしまった。部屋の中で一人、きょとんとしていた彩響は少しずつ顔が熱くなるのを感じた。なぜなら、それは―


「ま、まさか…今私のこと、可愛いと言ったの??あの洗濯変態さんが???」


間違いなく、彼が言ったのは自分が今着ている首の伸びたTシャツと穴が空いた短パンだった。普段はなに涼しい顔で人の下着いじっているくせに、こんなときに限って勝手に…勝手に…ドキドキさせる。何故か悔しい気持ちにもなるけど、正直ちょっと嬉しい。

(相変わらず、油断のできない家政夫さんだわ…色んな意味で)

そんなことを思って、彩響は誰にも見えないよう一人でニッコリ笑った。