「あなたそれ、よくある『フラグ』っていうやつだよ?このまま、二人の関係がなにかの事件により近くなり、そこから愛が芽生え…体も…!」

「寝言は寝てから言いなさい」

「ええ?もっといっぱい色々と楽しめばいいのに」

「それ以上言ったらブロックするから。さっさと寝なさい、この妄想姫」

「ちっ、全然おもしろくない。あなたも無理せずにね」

「お休み」


最後のメッセージを送って、スマホから手を離す。あの家政夫さんと、私が、恋愛?いや、無理でしょ。下着洗うことにしか興味ないやつに恋愛ができるはずが…。

ピンポン。

又スマホが鳴る。まだなんか言い残したことでもあるの??スマホを見ると、全く違う口振りのメッセージが届いていた。


「今日も会社で徹夜ですか?」


なんと、今まで彩響のことを待っていたらしい。意外な人物の登場にぼんやりしていると、又メッセージが届いた。


「食事はお済みですか?」


LINEのメッセージが「既読」になったことに気づいたらしい。暗くて静かな空間の中、大差ないスマホの画面になんかドキドキする。


(いやいや、そんなことない。向こうは家政夫で、私は雇い主だ。お互い不便になるだけだから絶対ダメ!)


心を落ち着かせ、彩響はメッセージを返した。もちろん、丁寧な言い方で。


「夜ご飯食べました。寛一さんはこんな時間まで寝ないで何やってるんですか?」

「あなたとやり取りしています」

「そういう意味じゃないでしょ」

「趣味活動をしていました」

(趣味?)