「これ、これ見て!以前インタビューしたあの作家さんからメールが届いたの!」

――峯野彩響様

この度は私の新刊発表会にご参加いただき、誠にありがとうございました。

本日発売されましたMen’s Cloverでインタビューの記事、確認いたしました。

とても良い内容で、それを読みながら、自分の話のはずなのに、なぜか感動してしまいました。自分も気づいていなかったことや、長年作家活動をすることで忘れてしまった「情熱」という言葉を改めて振り返ることができました。

本当にありがとうございます。次の作品発表会には、是非ともVIPとしてインやビューをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

本木(もとき)(けん)

PS.青いドレス、とても素敵でした。

「本当にありがとう!きっと良い実績出るよ。これ、全部あの日助けてくれた寛一さんのおかげです!」

「いいえ、そんな大したことはしていません。少しでもお役に立ったなら、幸いです」

寛一さんはいつもの淡白な態度を見せる。なんだ、ちょっとくらい一緒に喜んでくれてもいいのに。冷蔵庫に行った彩響が中に入っていた缶ジュースを開け、飲みながら又言った。

「あの時なんかお礼したいと言ったこと、覚えてます?なんか考えました?」

「いいえ、やはり礼など…」

「そんなこと言わないで、ほら、遠慮せず言ってください」

寛一さんがじっと何かを深刻に考える。やがて立ち上がった彼が、彩響の前まで来て言った。

「では、彩響さんの下着を洗わせてください」

プーッと彩響が飲んでいたジュースを口から噴き出した。