(洗濯に関してあれだけうるさい人だから、まあ他の人よりはましなはず)

「え…と」


褒められたことが少し恥ずかしかったのか、家政夫さんは軽く顎をこすった。そして部屋の中に入り、ベッドの上のコレクションを確認する。


「こちらのドレスはすべて俺が丁寧に手入れをしていますので、質としては問題ないかと思います。問題はイメージカラーですかね。お仕事で行かれるので、スマートで爽やかな印象を与えられる、こちらの青いやつはいかがでしょう」

(…洋服屋の店員さん?)

どこかで聞いたような説明に、彩響は何かに魅入られたように青いドレスを取った。確かに、言われた通りだと思う。スマートで爽やかな印象、うん、今日はそのコンセプトで行こう。

「ありがとうございます。じゃあこれにします」

「はい、良い選択かと思います」

「…」

「…」

「あの、着替えるので、出て行ってもらえますか?」

「こちらのドレスは背中に紐が多いので、一人では着替えづらいと思います。俺がお手伝いします」
「はい?いや、自分で出来ます」

「何を仰いますか、そのような大事な席に参加するであれば、なおさら身だしなみは大事です。完璧な格好で完璧な仕事をこなしてください」


今日の変態家政夫はなんか口数が多い。頑固なその態度に、彩響は妥協する道を選んだ。


「じゃ、せめて振り向いていてください。自分でできるところまではしますから」

「最初から俺がやったほうが…」

「あーもううるさい!さっさと後ろ向く!今すぐ!」