「彩響さん。あなたは結婚しても、しなくても、誰かの母にならなくても、もう既に素敵な人です。あなたはきっと一人でも、幸せになれる道を見つけ出すと思います。でも、それでも…俺は彩響さんの隣で一生いたいと思います」


寛一さんの顔は真剣で、少し緊張しているようで…でも、やはり優しくて。どうしても目線を外せなくなる。嘘も偽りもないその綺麗な目が、まっすぐにこっちを見ている。

「…だから、ここで言わせてください。俺の、一生のパートナーになってくれますか？」

今この言葉はきっと、彼なりの最善だと思う。疑いの余地もない。だって、こんなに必死に、こんなにも愛おしく告白する人、他にいない。だから…


「これって、プロポーズですか？」

「そうです」

「私の下着、一生洗うつもりですか？」

「何を言ってるんですか。それは俺の仕事です。当たり前です」


真剣な答えに彩響は笑ってしまった。


少し変で、下着変態だけど…彼はやはり、素敵な人だと思う。

「ありがとう、寛一さん。私のパートナーになってください！」


――やっと、寛一さんが笑った。

ゆっくりと彼が彩響の髪の毛に触れた。とても優しい仕草に、心まで温かくなる。


ついに見つけたんだ。

ありのままの自分を愛してくれる、私だけのソウルメイト。

彼の前では、本当の自分でいられた。

まだ私はこの差別と偏見が溢れる世界で戦わなきゃいけないけど、きっとそれも大丈夫。なんとか乗り越える。


なぜなら…寛一さんが傍にいるから。


「大好きです、寛一さん！」

「俺も、好きです。結婚式には、このドレス、着てくれますか？」

その質問に、彩響は世界で一番大きい笑顔で返した。


「もちろん、喜んで！」



―終わり