また、彼も同じようにわたしを嫌っているから…。


今では嘘のようだけど、入社仕立ての頃は意気投合して、結構仲良かったんだけど…。


今は意気投合したくもないね。


それからは何を話すでもなくエレベーターをおり、距離をあけて歩く。


柳田は電車通勤だから、駅まで彼の背中を追う形になるのがこの時間の苦痛だったり。



「なぁ、」



柳田は立ち止まるなり振り返る。


自然と目が合ったけど、すぐにそらしたのはわたし。



「胡桃って…っ、」



そこまで言うと黙ってしまった。


胡桃?……久しぶりにそう呼ばれた気がする。


前はお互い下の名前で呼び合っていたことを思い出し、思わず鳥肌が。


そんなの今では絶対にあり得ない。



「わたしが何?」



早く帰りたいんだけど…?