EP.2

 「沙紀ーーーー!!まだかーーー!!」

 「そうよ沙紀!春斗君、もう10分ぐらい玄関で待っててくれてるのよ。早く支度して降りてきなさい。」

 「……んにゃ…んん…」

 私は、朝が弱い。いや、弱すぎる。
 どれだけの大声を出されても私は起きない。
 そういう自信しかない。
 
 春斗の声以外だったらの話だけど。

 「沙紀ーーー。ほんとに早く起きて。マジで時間やばい。」

 あれ。春斗の声。もうそんな時間?

 「春斗ーーーー!!いるのーーーー!!」

 「ドアの前にいるから、早く準備して。」

 あ!春斗!今日も待っててくれてる…。
 
 「しばし待たれよ!!」

 「お前、何時代で教育受けてんの。」

 「平成という時代を知っているかな?その時代は、過去の時代すら言葉に取り入れてもいい時代なんだよ!」

 私は、春斗とドア越しに話しながら、学校の支度をするのが、日常だった。