休日のスクランブル交差点は前が見えないほどの人で賑わっていた。
手を繋ぐカップル。
それを見て舌打ちをする男。
友人同士で自撮りしている女子高生。
大きなスーツケースを下げた旅行客。
様々な人がひしめき合う中、信号機が青に変わった。
一斉に歩き始める人、人、人。
私もその人の波に乗り、足を進める。
目的地はすぐ目の前にある大きなお店。
何度もテレビで見て1度は行ってみたいと思っていたんだ。
「もうすぐ到着するな」
私の手を握りしめた彼氏がそう言った時だった。
どこからか甲高い悲鳴が聞こえて来た。
驚いて思わず立ち止まってしまう。
途端に後ろの人とぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
か細い声でそう言って再び歩きだそうとしたその時、すぐ近くで悲鳴が聞こえた。
今度こそ完全に立ち止まる。
けれど今度は誰ともぶつかることはなかった。
みんな驚いて足を止めているからだ。
悲鳴が上がった方へ視線を向けると、そこには青ざめた女性が立っていた。
それ以外にはなにもない。
「どうしたんだろう」
そう呟いた時だった。
周囲に立っていた人の首がグラリと揺れた。
そのままコンクリートに落下していく生首。
グルリと360度見回してみると、次から次へと人々の首が落下していく。
人の髪がフワリと揺れたかと思うと、次には首に赤い筋ができ、ゴトリと鈍い音を立てて落ちるのだ。
「なっ……」
すぐ目の前にいた人の首が落ちた。
「逃げるぞ!」
彼氏が私の手を掴み一歩踏み出した。
その時、彼氏の髪がフワリと揺れた。
首筋に赤い筋が見え、咄嗟に彼氏の手を離していた。
体を回転させて逃げようとした時、風が……生ぬるく、血の匂いを乗せた風が、私の体を通り過ぎて行った。
後の事は、覚えていない。
END
手を繋ぐカップル。
それを見て舌打ちをする男。
友人同士で自撮りしている女子高生。
大きなスーツケースを下げた旅行客。
様々な人がひしめき合う中、信号機が青に変わった。
一斉に歩き始める人、人、人。
私もその人の波に乗り、足を進める。
目的地はすぐ目の前にある大きなお店。
何度もテレビで見て1度は行ってみたいと思っていたんだ。
「もうすぐ到着するな」
私の手を握りしめた彼氏がそう言った時だった。
どこからか甲高い悲鳴が聞こえて来た。
驚いて思わず立ち止まってしまう。
途端に後ろの人とぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
か細い声でそう言って再び歩きだそうとしたその時、すぐ近くで悲鳴が聞こえた。
今度こそ完全に立ち止まる。
けれど今度は誰ともぶつかることはなかった。
みんな驚いて足を止めているからだ。
悲鳴が上がった方へ視線を向けると、そこには青ざめた女性が立っていた。
それ以外にはなにもない。
「どうしたんだろう」
そう呟いた時だった。
周囲に立っていた人の首がグラリと揺れた。
そのままコンクリートに落下していく生首。
グルリと360度見回してみると、次から次へと人々の首が落下していく。
人の髪がフワリと揺れたかと思うと、次には首に赤い筋ができ、ゴトリと鈍い音を立てて落ちるのだ。
「なっ……」
すぐ目の前にいた人の首が落ちた。
「逃げるぞ!」
彼氏が私の手を掴み一歩踏み出した。
その時、彼氏の髪がフワリと揺れた。
首筋に赤い筋が見え、咄嗟に彼氏の手を離していた。
体を回転させて逃げようとした時、風が……生ぬるく、血の匂いを乗せた風が、私の体を通り過ぎて行った。
後の事は、覚えていない。
END