そして、昼休み。


いつものように、食堂でミヤコと昼食を摂る。


ミヤコは日替わりのA定食の鳥の唐揚げで、
私はカツカレーにした。


「あれだね。
カツカレー見てると、以前の川邊部長思い出す」


ミヤコは、カツカレーと私の顔を交互に見ている。


そういえば、最近の篤さんは会社の食堂でカツカレーを頼まなくなった。


それは、私が頻繁にカレーを作るからだろう。


そんな私も、カレーはしょっちゅう食べているのだけど、
なんとなく今日はカツカレーを頼んでしまった。


「でも、明日から梢が居ないの寂しいなぁ」


ミヤコにそう言われると、私の方がもっと寂しいよ、と思う。



「うち、会社から近いから、いつでも遊びに来てよ!」


「え、いいの?」


「うん。また篤さんに言っとく」


多分、篤さんは私がミヤコをあのマンションに招きたいと言ったら、
全然構わないけど、って言うだろう。



「私も、ここいい?」


頭上から聞こえたその声は、松嶋さんで。


「松嶋さんも、今日食堂って言ってましたね?」


私のその言葉に、今朝忙しくてお弁当作る時間なかった、と松嶋さんは答えた。


松嶋さんは、私達の分のお弁当を作らない日も、基本お弁当だけど、
そうやってたまに食堂も利用している。


私も主婦になって分かるが、そんな毎日朝からお弁当なんか作ってらんないだろうな、って。