「梢、俺ら始まりはあんな感じだったけど。
今は本気でお前の事好きだから」


「うん…」


こうやって改めて言われると、凄い恥ずかしい。


「俺、今まで好きだって思った女は何人か居るけど、
愛してると迄思った女は、梢お前だけだ」


それって…。


あの、斗希さんの昔の彼女や、
篤さんの元彼女の広子さんよりも、私の事をより好きだって事で。


いや、私の事は、愛してくれているんだ。


「お前の一番好きな所を俺なりに今考えてみたんだけどよ。
やっぱ、それだよなって」


「なに?」


「俺の事を好きな所」


「私が篤さんを好きだから?」


私のそこが、一番好きなの?


「お前程俺の事好きな女も、他に居ねぇよなって」


そう言われて、思う。


「私は篤さんの事を好きなだけじゃなくて、
愛してるから」


その言葉に、篤さんは少し笑うと、

私を引き寄せるように抱き締める。


そして、キスをされた。


重なる、唇。


いつの頃か、篤さんのキスからは、あまりタバコの味がしなくて。


今は、もう全然。


私のお腹の中の子供の為なのか、
妊娠している私の為なのか、篤さんはタバコを辞めた。


結婚して私があのマンションで暮らしだした時から、
あの家で吸わなくなり。


次第に、会社や外でも篤さんはタバコを吸わなくなった。


私は喫煙者じゃないから分からないけど、
きっと、タバコを辞めるのは、けっこう大変だったんじゃないかな。