「ほんと、お前ってめんどくせぇからな」


その誕生日プレゼントの事は、ある意味もう笑える思い出みたいに、私達の間ではなっているのだろう。


今、目の前の篤さんは、それを思い出して笑っている。


「篤さんの方がめんどくさいけど」


今は、あの時の篤さんが、ただ純粋に私が欲しい物を誕生日プレゼントにくれただけなのだと分かっている。


「そっか?」


「うん」


そう言って、二人でゆっくりと手を繋いだまま、チャペルの内陣の方へと歩いて行く。

そして、階段を登り、
歩みを止めて、繋いだ手を離し。


向かい合う。


「子供産んで腹へこんだら、写真だけでも撮るか?」


それは、結婚写真って事かな?


「いいけど。
篤さんのタキシード、似合うんだろうけど、なんか似合わないよね。
いいの?」


篤さんの顔はわりとイケメンだから、何を着ても似合うのだろうけど。

篤さんが、タキシードってのが似合わないな。


想像したらちょっとおかしくて、笑ってしまう。


「別に、俺はどうだっていいんだよ。
ただ、お前のウェディングドレス姿が見てぇから」


その言葉に、笑っていた私の顔が、熱を持ったように赤くなってしまう。


それは、篤さんも同じようで。


「想像したら、お前マジ綺麗なんだろうなって」


その言葉で、出産したらウェディングドレスを着て写真を撮る為に、
ダイエットをしよう、と決意した!


「けど、こうやって此処貸し切ったのはいいけど、
どうすりゃあいいんだろうな?」


そう訊かれてもなぁ。


「じゃあ、改めて、私に愛の告白とか?」


「愛の告白な。
分かった」


してくれるんだ。


そう思うと妙に緊張して来て、姿勢を正した。