「自分だって、過去遊んでたんでしょ?
今日の篠宮君との会話を聞いてる感じ、AV女優に手を出しまくってたみたいだし。
そう思ったら、私なんか近藤龍馬と付き合ってたけど、手すら繋いでないし、篤さんよりずっとまともだし」


「あ?過去なんか関係ねぇだろ?
この先、お前があの男とそうやって仕事でも会うのが気にいらねぇ」


そう言われても、って思ってしまう。



「そう言うけど、篤さんだって」


「あ?俺がなんだ?」


そう睨まれて、一瞬怯むけど。


前から少し思っていた不安をぶつけるのに、いい機会だ。


「篤さんの方が浮気とかするんじゃないの?
過去、そうやって遊んでいたのもそうだけど。
今、私妊娠してるから、全然してないし。
ほら?ベタだけど、妻が妊娠中男ってよく浮気するっていうし」


「じゃあ、もし俺が浮気したら、お前どうすんだ?」


そう訊かれても。



「もし、浮気したら、殺す」


ありがちな言葉しか、出て来ない。


「じゃあ、浮気してやるから、殺してみろよ」


その言葉に、一撃で倒れそうな程のダメージを喰らう。

本当に、胸に何かが突き刺さったみたいに。



「…もういい」


言い返す言葉がもう出て来なくて、
私はキッチンから出ると、
自分の部屋へと行く。


篤さんと喧嘩をする事はしょっちゅうだけど、
怒りだけじゃなく、こうやってモヤモヤとする喧嘩は、あの時以来だな。


以前、近藤龍馬に呼び出されている事を伝えて、篤さんと喧嘩になった時。


また、近藤龍馬が原因で、本当に腹立つ。