「…有名なAV男優みたいよ。
嫌よね、男の人達って」


隣の松嶋さんが、ボソリとそう言う。


「兄貴はAV女優とヤった事とかあるんですか?」


そう言った後、パソコンから顔を上げた私と目が合った篠宮君は、
その失態に気付いたみたい。


篤さんの嫁の私が、この場所に居る事に。


「それはないですよね!!
そんな夢みたいな話!
ね、兄貴?」


「あ、ああ…」


明らかに、あ、したんだ、と分かるその篤さんの感じ。


こんな嘘が付けないような所に惚れてるのだけど、
今みたいな場合は非常にそれがムカつく。


多分、この人、元彼女でAV女優だった広子さんだけじゃなく、
他にもAV女優に手を出していたんだな、って今の感じで思う。


「AV女優みたいなプロからしたら、
篤さんなんかきっと、"普通"なんでしょうね?
二度目がないくらいに」


そう言ってチラリと見た篤さんの顔は、
ちょっとムカッとしている事が分かった。


いつか、元AV女優の広子さんに、そんな感じの事を言われてフラれたと話していた篤さん。


その言葉は、私からの最大限の嫌味。