「じゃあ、最後は私」


そう言って、松嶋さんは私達にそのメールを送る。


松嶋さんが最後って事は、篤さんは企画を出さないのか。


篤さんがどんな商品を考えるのか、ちょっと楽しみだったのに。


以前の、この部になる前のトイ企画開発部三課の時の、
一番のヒット作の美少女アイドル戦士シリーズの化粧品は、篤さんの企画だと聞いた。


けど、部長になった今、流石に部長である篤さんが企画したものを、
いまいちでも、ダメだとか周りはなかなか言えないもんね。


「これなんですけど」


松嶋さんのその言葉で、ファイルを開いてそれを見る。


Tシャツ?

それは、美少女アイドル戦士最新作品のもの。


うわぁ。可愛い。欲しいな。


けど、これ、大きいサイズと小さいサイズ?!


「親子でペアルックなの。
私みたいな子供がいる、大人の女性が欲しくなるものを考えてみたの」


その松嶋さんの意見に、篤さんは少し渋い顔。


私はいいと思ったんだけど。


「あれだ。
べビィトイ企画開発部で、親子で揃いのTシャツはうちからけっこう出してるからな。
最近はあのカエルのキャラのやつと、今度、オバケのやつが」


カエルのキャラはあのアニメで…。


もう1つのオバケは、うちの義父原作のアニメの[オバケのきもち]の事かな?


「もし、この企画を通したら、あっちと一緒にってなるかもな。
あーでも、あっちは赤ん坊対象だけど、美少女アイドル戦士なら、子供の年齢はもうちょい上がるか?
そうなると、うちだけで進めて行けるか…。
けど、いまいちインパクトがなぁ。
そりゃあ、斬新過ぎるのは敬遠されるから駄目なんだが。
こんな風に安定感があるのもな」


私的に、その美少女アイドル戦士のTシャツを、ぜひとも商品にして欲しい。


もうすぐ生まれて来るお腹の子と、一緒に着たい!


そう思うと、勝手に口が動いていた。