「俺は、案を1つに絞りました。
俺も篠宮みたいに100個くらい考えて来たんだけど」


そう言うのは平井さんで。


斗希さんの友達なだけあって、その醸し出すインテリな雰囲気に、
期待してしまう。



「どーせ、端からその1つしか考えて無かったんだろ?」


そのファイルを開いた篤さんの、あっ、と明るくなった表情を見て、
私もさらに期待が膨らみそれを開く。


目に飛び込んで来たそれは、私が生まれる前よりも昔の漫画で、テレビアニメにもなった作品のキャラクターで。


そのキャラクターの、万年筆。


「あ、欲しい」


そう思わず、口にしてしまった。

篠宮くん程そのイラストは上手じゃないけど、
けっこう、可愛い。



「今回、万年筆で出しましたけど、
同じように高級感のあるボールペンやシャーペンでも、いいかと。
価格も、2~3万辺りで」


「ありっちゃあアリだ。
うちの子会社の文具メーカーから出すより、どっかの万年筆の高級ブランドでコラボでもいいし」


篤さんはそれ以上ハッキリとした事は言わないが、
もしかしたら、これが商品になる可能性があるのだと思わされた。