「それより、あのさ」


私は、これが本題だと切り出す。


「どうしたの?」


ミヤコは私のそんな雰囲気を感じ取り、持っていた箸を置いた。



「ミヤコ、もしあれなら私と仲良くするの辞めていいよ。
あ、会社内だけでね。
ほら、このままだとミヤコ迄会社内の人達に何言われるか分かんないし。
会社の外では仲良くしてくれたら私大丈夫だから」


まさか、自分がこんな事を言う日が来るとは思わなかった。


同じような事を周りに言っている、篤さんの気持ちが分かった。


私と関わる事で、ミヤコに害が及んだら嫌だなって。


「気にしなくていいよ。
私元々、梢しか会社内に友達居ないし。
だから、他の人達に避けられても問題なし」


それは私も同じで、ミヤコしか社内に友達は居ないので、それは分かる。


ただ、私の場合仕事に支障が出て来ていたので、ミヤコ迄そうなったら、と心配。


「それに、元々私けっこう噂されているし。
遊んでる、とか。
実際その通りなんだけど」


それも、私も同じだったので分かる。


いつか篤さんが言っていた。


"ーーお前と同じ部の女が一緒にけっこうコンパとか行ってて、男取っ替え引っ替えしてる…とかかーー"


私とミヤコは、類友ってやつで。


「でも、実際、流石に私迄は特に被害はないよ。
梢とは友達だけど、私は川邊部長とは全く接点ないし。
最近逆に、川邊部長と梢との事が知りたくて、私に近寄って来る人が居るくらいなのに」


そうなんだ。


みんな、篤さんにそうやって距離を置きながらも、
何かしら彼が気になるんだな。